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一般に障害者問題とされる諸問題について …

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ノウゼンカズラ(凌霄花)

写真:素材クラブ2008


ニュース、話題

障害者に係る表記上の問題について

2009年7月2日木曜日、 障害者の表記につき、 文化庁文化審議会の国語分科会で論議されている常用漢字の見直し案で、「碍(がい)」の追加を求める意見や要望が目立っている。 と報じられている。次のとおり。

「障害者」ではなく「障碍者」と書けるようにするためで、印象の悪い「害」は嫌われているようだ。しかし、「害」も「碍」も、意味はほとんど同じ。障害者団体では「『しょうがい』という言葉そのものの見直しを検討してもらいたい」と訴えている。

「碍」常用漢字に必要?…障「害」印象悪く、賛否両論 / YOMIUIRI ONLINE (読売新聞) 2009年7月2日

「害」ないし「碍」につき、 「害」も「碍」も、「さまたげる」ことを意味するが、「害」は「害毒」「害悪」「公害」などの熟語に用いられ、負のイメージが強い。このため、山形、福島、岐阜、三重、大分、熊本県などの自治体では、担当部署名や広報文の表記を「障がい」に切り替えている。昨年4月から「障がい」を使う岐阜市では、「賛否両論あるが、障害という言葉を考えるきっかけにはなっている」と説明する。 とされ、何れにせよ、「さまたげる」ことを意味し、「負のイメージが強い」とされることに違いはないといえる。

「障害」の表記につき、 しかし、「害」には誤解も多い。その一つが「当用漢字に『碍』が入らなかったため、戦後になって『障害』という書き方が登場した」との説明だ。 とした上で、 ところが、戦前に発行された国語辞典の「辞苑」や「言苑」では、「障害」の表記も示されている。「女工哀史」(1925年)にも「視力および聴力に著しき障害」「身体障害の程度により」とあり、「障害」は必ずしも、戦後に生まれたわけではないようだ。 とされている。戦前に、「障害」の表記が認められたのであるとすれば、前記の説は誤解に基づくものと解されるべきである。

障害者団体の認識として、 障害者団体の受け止め方は複雑だ。「障害者インターナショナル日本会議」の尾上浩二事務局長は「『障害』とは、社会にあるバリアや差別のことを指す、と考えている。漢字を変えて社会の現実を覆い隠してしまうことを危ぶむ」と批判的だ。 とする説が紹介されている。確かに、「社会にあるバリアや差別」は、障害となる可能性がある。ところで、一般に障害者とされる者につき、障害という場合、それは必ずしも、社会にあるバリアや差別のことを指すとは限らない。

障害者基本法 第2条の定めるところによれば、 この法律において「障害者」とは、身体障害、知的障害又は精神障害(以下「障害」と総称する。)があるため、継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける者をいう。 とされている。一般に、当該日常生活又は社会生活の主体である障害者にとって、当該生活にかかる制限は障害であると言える。前記「社会にあるバリアや差別」とはこの類と言えるだろう。しかし、障害者に係る障害とはそれだけではない。「障害」と総称される身体障害、知的障害又は精神障害もまた障害であるとする事実は否定され得ないからである。その意味で、「『障害』とは、社会にあるバリアや差別のことを指す」とする考えは、一面的な物の見方と言えるのではないか。

また、 「日本発達障害ネットワーク」の山岡修副代表は「『障害者』という言葉に抵抗はある。ただ、変えるなら、新しい言葉を考えるべきだ」と力説する。日本障害者協議会の藤井克徳常務理事も「『しょうがい』という言葉について、国語学者も交えて新しい言葉を考えてほしい」と求めている。 とする説もあるようだが、さて、如何なものか。

「特別障害給付金」の受給状況について

2009年7月1日水曜日、 障害年金を受け取れない学生や主婦らのため05年度に始まった「特別障害給付金」の受給者が、制度導入から4年もたった今年4月末の時点でも国の推定する3分の1にとどまることがわかった と報じられている。次のとおり。

特別障害給付金は、国民年金が任意加入だった時期に未加入のまま障害を負い、無年金となった当時の学生や主婦らを救済しようと04年、議員立法で成立。厚生労働省は対象を計約2万4000人(学生約4000人、主婦約2万人)と推計した。05年度から障害1級で月額5万円の支給が始まったが、今年4月末現在で支給決定されたのは計8288人(学生4243人、主婦4045人)にとどまっている。

特別障害給付金:創設から4年、受給1/3どまり 無年金障害者、進まぬ救済 / 毎日jp - 毎日新聞 2009年7月1日

現状につき、 社会保険庁は「制度はインターネットなどで知らせており、なぜ大きな差があるかわからない」と釈明しているが、金沢大の井上英夫法学系教授(社会保障法)は「(申請を待つのではなく)本来は対象者へ個別に知らせるべきだ」と指摘。そのうえで「国は学生だった人や主婦など該当者の実態を調べていない。本人が知らないケースが多いのは当然だ。特に主婦は『(国民年金を)かけなかったからもらえない』という意識の人が少なくないのではないか」と国の姿勢を批判する。 とされているが、当該釈明につき、社会保険庁の見識を疑わざるを得ない。制度はインターネットで周知されているとしているのか。であるとすれば、「なぜ大きな差があるかわからない」等として不作為に及ぶことなく、早急に事態を解明し、必要な措置を講ずべし。

重度障害者に対する「重度障害者加算」不支給について

2009年6月30日火曜日、 奈良県大和郡山市が、生活保護を受けている重度障害者の男性に対し、本来支給するべき「重度障害者加算」を一昨年秋から約1年半にわたって支給していなかった と報じられている。次のとおり。

奈良県大和郡山市が、生活保護を受けている重度障害者の男性に対し、本来支給するべき「重度障害者加算」を一昨年秋から約1年半にわたって支給していなかったことが29日、分かった。市は同日、加算の支給を決定。男性をめぐっては、市が通院の交通費(通院移送費)を誤って支給していなかったことも明らかになっており、支援する弁護士らは「あまりにずさん」として、ほかの利用者にも不支給がないかを調べるよう市に求める。

生活保護の重度障害者加算も不支給 大和郡山市 / asahi.com 朝日新聞 2009年6月30日

当該の男性につき、 下半身と体幹機能に1級の身体障害があり、車いすを使用し、週6日、排泄(はいせつ)や入浴などに介護を受けている。 とされるにもかかわらず、 市によると、担当者は加算の対象になると考えなかった。 市厚生福祉課は「重度障害者加算の条件である『常時の介護』に該当すると判断できず、支給していなかった」と釈明している。 などとされている。担当課の判断には、誤りがあると言わざるを得ない。 同居する10代の長女のアルバイト収入を保護費から差し引く際、市は算定方法を誤り、保護費計約4万8千円分を少なく計算していた。 とする内容に至っては、文字通り、言うまでもない。これらの誤りは、質されることがなかったのか。であるとすれば、そのことは行政の不作為とされるべきではないか。何れにせよ、同市は、支給すべきものを支給せず、その結果、法律に基づいた適正な保護は実施されなかったというほかなく、その責任は重大と言うべきである。以下は生活保護法の抜粋である。

(この法律の目的)

第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。

(無差別平等)

第二条 すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。

(最低生活)

第三条 この法律により保障される最低限度の生活は、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならない。

(保護の補足性)

第四条 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

2 民法(明治二十九年法律第八十九号)に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行われるものとする。

3 前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない。

(この法律の解釈及び運用)

第五条 前四条に規定するところは、この法律の基本原理であつて、この法律の解釈及び運用は、すべてこの原理に基いてされなければならない。

生活保護法
(昭和二十五年五月四日法律第百四十四号)
最終改正:平成二〇年五月二八日法律第四二号

「介助犬を同伴して働く権利」について

2009年6月29日月曜日、愛知県で第26回県聴覚障害者大会が開催され、「愛知県障害者差別禁止条例の制定を目指して」と題したシンポジウムが行われたと報じられている。なお、当該条例については、次のとおり。

同条例は、2006年に国連で採択された、障害がある人がほかの人と同じ人権を享受することを認める「障害者権利条約」を受けたもの。障害者差別の禁止を目的としており、県内の障害者団体が中心となり原案を策定、県議会各会派に提案するなどしている。全国では、千葉県と北海道で同種の条例が制定された。

差別禁止条例制定へシンポ 県聴覚障害者大会=愛知 / YOMIURI ONLINE (読売新聞) 2009年6月29日

なお、シンポジウムで館林記者は、「介助犬を同伴して働く権利」と題し、就職筆記試験に介助犬の同伴が認められなかった事例を挙げ、「条例の制定によって障害のある人の働く機会の保障が広がることを期待する」と話した。 とも報じられている。介助犬の同伴が必要とされる者につき、労働の機会が剥奪されている事例とされるべし。

「障害者の法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」に係る法律上の問題について

2009年6月28日日曜日、大阪府による「法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」が問題におよんでいるようである。

大阪府が、全国最悪レベルの障害者の雇用状況を改善する切り札として10月に予定していた「障害者の法定雇用率未達成企業と取引しません宣言」が、暗礁に乗り上げている。事業者に対する府の入札参加条件に、障害者の法定雇用率(民間企業1・8%)達成を義務づける条例を制定し、その後、同宣言を出す方針だったが、総務省が「入札に公正性を求めた地方自治法に違反する恐れがある」として、条例案に「待った」をかけたため。宣言で下位脱却を目指した府は頭を痛めている。

“障害者雇用”大阪府宣言に暗雲、総務省「まった」 / YOMIURI ONLINE (読売新聞) 2009年6月26日

地方自治法施行令では、入札への参加を制限できる理由について、手抜き工事、談合、契約不履行などの不正、不当行為のほか、「契約の性質または目的により必要な資格を定めることができる」と規定。府はこの規定を根拠に、未達成企業を入札から排除することも可能と考えていた。 とされている。これが事実であるとすれば、「入札に公正性を求めた地方自治法」の定めとは何か、ないし地方自治法の定めにより求められる入札の公正性とは何かとする問題におよぶべし。

(国及び地方公共団体の責務)

第六条  国及び地方公共団体は、障害者の雇用について事業主その他国民一般の理解を高めるとともに、事業主、障害者その他の関係者に対する援助の措置及び障害者の特性に配慮した職業リハビリテーションの措置を講ずる等障害者の雇用の促進及びその職業の安定を図るために必要な施策を、障害者の福祉に関する施策との有機的な連携を図りつつ総合的かつ効果的に推進するように努めなければならない。

障害者の雇用の促進等に関する法律
(昭和三十五年七月二十五日法律第百二十三号)
最終改正:平成二〇年一二月二六日法律第九六号

踏切に遮断機と警報機の設置を求める要望書の提出について

2009年6月26日金曜日、 広島県の障害者団体が、すべての踏切に遮断機と警報機の設置を求める要望書を提出したとされる出来事が報じられている。

福山市で4月、耳が不自由な女性が警報機と遮断機がない第4種踏切で列車にはねられ死亡した事故を受け、広島県身体障害者団体連合会と広島市身体障害者福祉団体連合会は25日、JR西日本の広島、岡山両支社に、すべての踏切に遮断機と警報機の設置を求める要望書を提出した。

障害者「全踏切に遮断機を」 / 中国新聞 2009年6月26日

当該要望書につき、 要望書では、安全対策のほかバリアフリー化なども訴えた。踏切内の点字ブロックの敷設や段差の解消▽駅のホームで聴覚障害者に列車の発着を知らせる発光機の設置など計4項目を提言。文書による回答を求めている。 とされている。高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年六月二十一日法律第九十一号)等の定めるところにより、適正な対応が望まれるところである。

(目的)

第一条  この法律は、高齢者、障害者等の自立した日常生活及び社会生活を確保することの重要性にかんがみ、公共交通機関の旅客施設及び車両等、道路、路外駐車場、公園施設並びに建築物の構造及び設備を改善するための措置、一定の地区における旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路を構成する道路、駅前広場、通路その他の施設の一体的な整備を推進するための措置その他の措置を講ずることにより、高齢者、障害者等の移動上及び施設の利用上の利便性及び安全性の向上の促進を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年六月二十一日法律第九十一号)

障害者の中学入学拒否に係る事件について

2009年6月26日金曜日、 障害者につき、中学入学を拒否したとされる事件が報じられている。

希望した地元の公立中学への進学を拒否された車いすの谷口明花(めいか)さん(12)=奈良県下市(しもいち)町=と両親が、町と町教育委員会に入学を認めるよう求めた訴訟で、奈良地裁は26日、町教委に入学を義務づける仮決定を出した。少女側の代理人の児玉修一弁護士が会見で明らかにした。明花さんは7月からの通学を希望しているという。

車いす少女の中学入学拒否「妥当性欠き違法」 奈良地裁 / asahi.com 2009年6月26日

当該決定については、 決定によると、一谷好文裁判長は、健常者と障害者との共同学習の推進などをうたった衆参両院の付帯決議などを引用したうえで、町教委の入学拒否について「慎重に判断したとは認めがたく、著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱または乱用したものとして違法である」などと批判。そのうえで、町教委に対し、少女側が望んでいる町立下市中学校への仮の入学許可を出すよう命じた。 とされている。思うに、妥当な判決である。

なお、 明花さんは地元の小学校に通い、下市中学校への進学を強く望んだが、町教委の就学指導委員会は「中学には階段が多く、命の保証ができない」として、県立養護学校への進学を答申。明花さんは養護学校に登校せず、自宅で県教委が派遣する同校講師の指導で学んでいた。 とする記事の内容によれば、障害者の地元中学への進学希望に関し、町教委が、「命の保障はできない。」としたかのようにも解されるが、断じて許されるべきではないだろう。

身体障害者手帳の不交付に係る事件について

2009年6月24日水曜日、 排尿障害のある男性につき、身体障害者手帳の交付申請を却下したとされる事件が報じられている。

排尿障害のある福岡市の男性(61)が障害者手帳の交付申請を市に却下されたのは不当だとして、処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が24日、福岡高裁であった。牧弘二裁判長は「日常生活が著しく制限されているとは言えない」と述べ、不交付処分を取り消した一審・福岡地裁判決を取り消し、男性の請求を棄却した。

障害者手帳の不交付、一転認める 福岡高裁、市側を支持 / asahi.com 2009年6月24日

上記内容によれば、「日常生活が著しく制限されているとは言えない」とした判断が、結論に至る理由のようだ。しかし、報じられているところによれば、市は、厚生労働省の通知に基づく市の基準により、当該申請を却下したとされ、 だが一審判決は、男性が01年の発病以来、1日5〜10回、カテーテルを使って強制的に排尿せざるを得なくなっていることから、「日常生活が著しく制限されており、障害と認めるのが相当」と指摘。身体障害者福祉法施行令では「膀胱の機能の障害」が交付対象となっていることから、「行政内部の基準で対象から除外しうるものではない」と市側の主張を退けていた。 とされている。思うに、一般に比して日常生活が制限されていることは明白と言うべきだろう。さて、国政は、当該事案につき、「著しく制限されている」とするや否や。

福岡の男性が逆転敗訴 身障者手帳の申請却下訴訟 / MSN 産経ニュース 2009年6月24日 によれば、 判決理由で牧弘二裁判長は「合気道の練習を週に1度しているほか、障害軽減の可能性がないとはいえない」と指摘。交付要件の「永続性があり、日常生活が著しい制限を受ける程度」には該当しないと判断した。身体障害者福祉法施行令が障害として定める「ぼうこうの機能」については「後天性の障害を除外した趣旨とは解釈できない」と述べ、この点は「後天性は含まない」とする市の主張を退けた。 とされている。合気道の練習を週に一度していることと、障害者手帳の不交付との因果関係、障害軽減の可能性がないとはいえないとした合理的根拠、交付要件に該当しないとした判断基準等につき、如何に。ただし、「後天性は含まない」とする主張が退けられたことにつき、同意。

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2009年7月2日木曜日
豊田 正弘

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